似た音ではなく、本物を聞き分ける
日本生まれ、日本育ちの私が小学生の頃、家でよく流れていた洋楽をその通りに歌いたくて、ヘッドフォンで聞き続け、ただただモノマネを繰り返していました。私にとっては遊びの延長のつもりでしたが、この小学生時代に本物とそうでない音を聞き分ける「耳」が養われたと思っています。そして後になって、これが大変貴重な宝になったと身に沁みています。そもそも教える側にこの力がないのは、致命的だからです。似た音というのは幅広く存在し、この能力がない限り、出せた気になっているものなのです。
構造改革、変化させるトランスフォーマー
アメリカでの高校時代、すでに問題なく通じていましたが、日本語の名残りを消し去るにはどうしたらいいのかと試行錯誤をし始めました。英語耳のおかげで何が本物の音なのかはつかんでいるので、それを再現すべく体に伝え、筋肉や器官を連動させて音を作り上げていくという過程は、まるで “生まれ直し ― reborn” のような体験でした。
そうやって、すでに通じている英語のその先の(実はここからが大変)大きな壁を越えながらつかんだ構造改革のコツは、どの発音のテキストにも載っていないものでした。それらは言葉にするのが難しいだろうと思われるものでした。
脱カタカナへの試みはもちろん、その先の壁を乗り越えるという挑戦を自分ひとりでするのは大変な作業です。
正確な音をとらえることができる才能と、それを体に伝えて操るコツや器用さと、正確なフィードバックを自分に与えられるということが必須条件です。
トレイシーイングリッシュボイスが、それらの条件を満たすトランスフォーマーの役割を果たします。
講師の音声(原稿はTEDより引用)